NIPPONIA 小菅 源流の村（北都留郡小菅村）

更新日 2023年06月27日公開日 2023年06月26日

NIPPONIA 小菅 源流の村（ 以下「 NIPPONIA 小菅」）は、日本の原風景が残る小菅村全体をひとつのホテルに見立てた新たな分散型宿泊施設です。"700人の村がひとつのホテルに" をコンセプトに、村に点在する古民家を客室、温泉施設を大浴場、道の駅をラウンジとしてお客さまをおもてなしします。

「小菅村は、東京都に近接しながらも豊かな自然が保全されており、ふるさとの原風景を残した農村集落はどこか懐かしく、訪れる人の心を和ませてくれます。年間20万人が訪れる魅力あふれる村は、せっかく遊びに来ても宿泊できる施設が少ないため、日帰りで帰ってしまう方が多かったんです。そこで空き家の再活用も含めて、全国各地の地方創生を手掛ける株式会社さとゆめ（本社：東京都）と小菅村が、共同事業としてつくったのが始まりです。」と話してくれたのは、NIPPONIA 小菅の番頭を務める谷口峻哉さん。都内の高級ホテルで勤務し海外に留学後、ホテルのオープンに合わせ小菅村に夫婦で移住した村人の一人です。慣れない土地での生活に当初は不安もありましたが、村人がいつも気にかけてくれているおかげで家族も安心して暮らせているそうです。

入口の暖簾（のれん）を潜ると、かつての家主が肝いりでつくり上げた美しい日本庭園が広がります。重厚感のある外観から一歩中に入ると、木の香りに包まれ、建物がもつ風格や趣を残しつつも、調和の取れたモダンな家具に心が引き込まれます。1日4組限定の「大家」は、村の人々から「大家さん」の愛称で親しまれてきた築150年の歴史的邸宅です。かつて養蚕を営んでいた名士の邸宅を改修した「大家」は、小菅村の人にとっても大切な心のよりどころでしたが、2014年から空き家になっていました。時を超えて特別な空間としてふたたび命が宿った名家は、安らぎと高級ホテルのような佇まいを同時に感じさせてくれます。

NIPPONIA 小菅の名物の1つに、村人案内による散策・体験プログラムがあります。村人が案内人となり、村内の畦道を歩いたり、村のワサビや野菜を収穫する、といったまるで村人の一人になったような暮らしを体験できます。実際に宿泊される方は都会からの宿泊者も多く、非日常を体験するとともに、村人の温かさに実家に帰ってきたような安心感や温もりを感じる。と言われるお客さまが多いそうです。

大家に併設されているレストラン源流懐石 「24SEKKI」は "そのときを皿にのせる" というコンセプトのもと、 「二十四節気」にちなんだ小菅村の四季の恵みを楽しむことができます。その他、夕暮れの中を歩いて行く温泉や、電動自転車を使って村内の滝を探す散策もおすすめです。ここで過ごす時間は人それぞれの楽しみ方があり、四季折々の自然に身を委ね、まるでそこで暮らしているかのように過ごしてみるのもいいかもしれません。

かつて養蚕や農林業で栄えた小菅村は、人口がピーク時の3分の1にまで減少し、主を失った空き家が100軒近くにまで増えるなど、深刻な過疎高齢化に直面しています。2019年8月にオープンした NIPPONIA 小菅は現在、「大家」と築100年の廃屋をフルリノベーションした「崖（がけ）の家」と呼ばれる2つの宿泊施設がありますが、新たにカフェやレストランを併設する新規プロジェクトも構想しています。 「村人の意見も尊重しながら、地域が盛り上がるきっかけづくりをしていきたいです。移転や起業による企業の増加や、小菅村が移住者支援に力を入れていることで移住者も徐々に増えてきています。しかし実際は移住を計画してみると、村に定住できる家が少く、受け入れ態勢にまだまだ課題もあるため、移住しやすい環境を整えていくことが大切です。小菅村に残る古き良き伝統と、新たな文化が化学変化を起こし、もっと地域が活性していけると面白いですね。」と谷口さんは嬉しそうに話してくれました。 日本の原風景が残りつつも、新たな可能性を感じる小菅村や NIPPONIA 小菅にぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。