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思いやりをシェアする仕組み。フードバンク山梨を知る。( "Food Bank Yamanashi" to share compassion)

フードバンクって何? 世界中に広がる食料支援のかたち

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 認定NPO法人フードバンク山梨では食料支援、食品ロスの削減、子どもへの学習支援などを行っています。フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損、過剰在庫、印字ミスといった理由で、流通に出すことができない食品を企業などから集め、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動のこと。日本では、1年間で500~800万トンの食べ物が捨てられています。
 そんな中で、低所得の困窮世帯にいる子どもたちの家に直接、無料で食料を届けるセーフティネットの役割を果たしています。アメリカでは1967年に開始され、フランスは1984年に開始されました。
 他にも、カナダ、イギリス、オーストラリアなど世界中へフードバンク活動は波及し、実施されている取り組みです。日本では2000年以降フードバンクが各地で設立され始めました。しかし、その背景にある「食品ロスの問題」「貧困問題」への認識が十分に浸透していないこともあり、フードバンク自体の活動がなかなか認知されていない状況です。そんな中でフードバンク山梨は2008年に設立され、今年で12年目を迎えます。協力の企業・団体は設立から10年の2018年時点で179社・団体、年間に取り扱う食品の総量も100トン以上にのぼっています。各世帯の支援以外に、児童養護施設や障がい者施設、高齢者施設、自治体や団体による炊き出しなどにも食品支援を行っています。

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取材に応えてくれたフードバンク山梨の秋山綾乃さん。精神保健福祉士の資格を持ち、フードバンク山梨では事務局次長、渉外担当として働いています。

フードバンク山梨が考える支援の必要性とその割合

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 取材にあたり、フードバンク山梨理事長、全国フードバンク推進協議会代表であり行政と協働で「食のセーフティネット事業」を行う米山けい子さんに、支援を必要としている世帯について、また貧困世帯が生まれてしまう要因についてたずねてみました。

 「県内で貧困状況にある子どもが9,270人に対し、現在フードバンク山梨が支援できている子どもたちが1,324人、この人数を計算するとまだ7,928人の子どもたちへ支援が行き届いていないということになります」

 これは下記のデータから算出された人数で、現在、少なくとも約8000人弱もの子どもが支援を必要としていることになります。

 県内の子どもの数87,460人×10.6%(山梨県の貧困率※)=9,270人
 9,270人-1,324人(フードバンク山梨の支援数)=7,928人

※=山梨県教育委員会の「子供の貧困に関する調査」によりアンケートが実施され、2017年にまとめられた報告によるもの。厚生労働省によって算出される貧困率とは、可処分所得と家族の人数などから割り出す「貧困線」を下回る世帯の比率のこと。これを下回る世帯が山梨においては約10人に1人いる。

 このような貧困世帯が生まれてしまう要因は、山梨県においてだけでなく全国的な問題だと米山さんは指摘します。

 「子どもの貧困は山梨県というより全国的な問題です。日本の子どもの貧困の格差は世界的にも悪く、先進34ヵ国中24位と下から10番目です。特に、最貧困層の所得は平均的な世帯の4割となっています。原因は母子世帯の増加とその世帯が非正規雇用が多く、低所得で困窮してしまうことが考えられます。私たちのアンケート調査では、年収が150万円以下の世帯が半数近くおり、母子世帯も8割を占めています」。

フードバンク山梨食料支援を行う現場を見学

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 生活に困窮している世帯への食品を寄付する取り組みはどのように行われているのでしょうか?実際に発送作業を見せてもらいました。倉庫には賞味期限別、品目別にキチンと分けられた大量の食料品が並びます。毎月2回の発送作業でおよそ120世帯に食料支援をする中で、その世帯に必要なものを専用の箱に梱包します。年代や必要な品目は各世帯の構成によって違うからです。何人で住んでいるか、アレルギーの有無、調理ができるか否か、乳幼児がいるか、ファイルをもとに、その世帯に必要な品目を箱に詰めます。ベースとなる基本のセットに加え、調理がむずかしい世帯にはインスタント食品や防災用のアルファ米、缶詰といった品目を多く入れ、乳幼児がいる世帯には粉ミルクを入れる、というようにパーソナルな支援を行っています。これらはフードバンク山梨のスタッフとボランティアによってまかなわれ、住所などプライバシーに触れる最終の発送作業はフードバンク山梨の正スタッフが行う配慮がなされていました。
 大量の食料が保管される倉庫で、賞味期限のチェックにも余念がありません。賞味期限がなくとも夏場など虫が出やすいお米は真空パックにして保管するなど衛生面にもキメ細やかな配慮が行き届いていました。

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フードバンク山梨が行う多様的な支援と課題

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 フードバンク山梨が支援するのは食料だけでなく、お昼ご飯付きの学習支援、夏休み冬休みの長期休暇における子どもたちへの支援、クリスマスプレゼントを送るためのクラウドファンディングなど多岐にわたります。多様化していく貧困問題に合わせ、フードバンク山梨でもさまざまな取り組みを行っていました。フードバンクの活動を支援することは、企業や団体だけでなく、個人でもできます。県内チェーンのいちやまマートやJAが運営するAコープなどに設置された「きずなボックス」に食品を寄付することができますし、各地の家庭、お寺、学校で余剰食品を集める「フードドライブ」で寄付ができます。また、山梨中央銀行や郵便局からお金の寄付が可能です。寄付したお金は確定申告で約40%の控除を受けることができます。ふるさと納税と同じように、地域の問題解決に役立てたい方は選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょう。現在フードバンク山梨が抱える課題として、支援する食料が増加している一方、現在の倉庫に保管しておくのが手狭になってきているのと、老朽化が懸念されています。そしてもうひとつ、約650世帯をケアしているフードバンク山梨は、支援する世帯の増加を目指しています。これにはさらなる自治体との連携が不可欠です。フードバンク山梨が活動を行うことによって、救われる人がいます。昨今の新型コロナウィルスの世界敵な流行、感染拡大問題でライフラインを危惧する風潮(水・食料・日用品の買い占め)が高まっていますが、そんな時こそ、困っているときは助け合う精神、思いやりを忘れずにいたいものです。SNSで思い出をシェアする時代に、人の手によって思いやりをシェアする媒体がフードバンクと言えるのではないでしょうか。

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Article written by VALEM co., ltd.

フードバンク山梨 支援受付口座
口座名義:特定非営利活動法人フードバンク山梨
銀行名:山梨中央銀行 県庁支店
店番:258 口座番号:普通 671338

認定NPO法人 フードバンク山梨
400-0214 山梨県南アルプス市百々3697-2
TEL:055-298-4844
FAX:055-298-4885
E-mail: info@fbyama.com
HP:https://fbyamana.fbmatch.net/

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