たった一冊の絵本と出会える小さな本屋さん(Small bookstore that can meet a picture book)
ぱらっ...ぱらっ...。一枚ずつ丁寧にページをめくる音が聞こえてくる。扉を開けた途端に訪れる静かな本との時間。「絵本屋あんな」は、山梨県南アルプス市にある小さなちいさな本屋さんです。
「絵本屋あんな」の始まりは、2007年の6月。10年以上経った今も、ずっと変わらぬスタイルでこの空間を静かに守り続けているのです。
▲南アルプス市野牛島にある「絵本屋あんな」
「本が好き」その想いをカタチにしたかった
「ただの本好きです」と優しく微笑むのが、このお店の店主・中沢みささん。
「本が好きになったのは何歳の頃か覚えていないんです。小学生の頃にはファンタジーの世界にのめり込んでいました。成長と共に離れてしまったときもあったのですが、それでもいつも私の生活の近くに本の存在があって、会社に向かう電車の中で読む本の時間がたまらなく好きでした。」そんな風に会話を続ける中沢さんは、故郷である山梨県を20年離れて生活する中で"自分の好きな本屋さんをつくりたい"と思うようになったそう。それも、地元である山梨県で...。
▲店内は、陽の光が差し込む暖かな空間。本棚の手前には、カフェスペースがあります
車の通りが多い道路沿いにありながらも入り口の扉を開けるとなぜだかそこが現実の世界とは思えないような気持ちになる不思議な本屋さん「絵本屋あんな」。店内には、絵本を中心とした750~800冊の本が常時並び、ドリンクやサンドイッチ、マフィンなどが食べられるカフェスペースも併設されています。そして、おままごとのできるキッチンや木馬なども置かれているので小さなお子さんも飽きることなく過ごすことができます。
▲カウンター席で店主の中沢みささんと会話を楽しみながら過ごす人の姿も...。 ▲手作りクッキーやマフィンもあります。
コーヒーやオーガニックジュースなども揃います
▲キッチンでおままごとを楽しむのも◎
店内にある本はすべてが一冊ずつ。対象年齢や季節のバランスを考えながら選んだ中沢さんのおすすめの本が並ぶのです。本の内容を知っている中沢さんに相談して、あなたにぴったりの本をセレクトしてもらうのもこのお店ならではの楽しみ方かもしれません。
▲ゆっくりと絵本の世界に浸る時間 ▲おすすめの絵本を聞いてみると紹介してくれます
本のある暮らしを伝える場所
中沢さんが大切にしていることは、「本の世界に浸っていられる空間」「ここにしか流れていない時間」を用意することです。
「小さなときに読んでもらった絵本や何回も何回も繰り返し読んだ絵本の記憶は、気づかぬうちにカラダのどこかに染み込み、ふとしたときに心の中を暖かく包み込む力を持っています。絵本に限らず、本の背景には計り知れない大切なことがあるように感じるのです。」(中沢さん)
2018年3月31日、日本で最初の子どもの本専門店として歩みだし、長きに渡り愛されてきた「メルヘンハウス」が閉店しました。中沢さんもこの衝撃的なニュースに大きなショックを受けた人の1人です。
「ますます街から本屋がなくなっていると感じさせられるけれども、本を手にすることは、いろんな体験ができる。どこで手にしたのか、今読んだら受け止め方が違った、他にこんな本があるのか、など...。知らぬ間にその時の自分の心情を表した本と出会ったり。
絵本は小さい時から手にする本の入り口みたいなモノ。絵やお話、音など選びかたも色々です。難しく考えずにページを開いて、年齢関係なく本に興味をもってもらえるのではないかなと思い絵本屋さんを始めました。」(中沢さん)
母から子へ伝えていく大切なことのひとつ。それが本を読む時間なのかもしれません。今、母となった私たちがまだ我が子のように小さかった頃、お気に入りの一冊があったことをふとした時に思い出すことがありませんか?その思い出を目の前にいる愛おしい子どもたちに用意してあげられるのは、この記事を読んてくれたあなたであって欲しいと思うのです。
「絵本屋あんな」は、そんな大きな願いを詰め込んだ、南アルプス市にある小さな本屋さんです。 お子さんと一緒に、ママ友と一緒に、そしてもちろんお一人でも...。このお店にしかない時間をあなたらしいスタイルで過ごしてみてください。
Article written by New Attitude
絵本屋あんな
山梨県南アルプス市野牛島2347-1
055-285-3245
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http://www.amy.hi-ho.ne.jp/annahon/