「さをり織り」とは?〜自宅でできる手軽な手織りを分かりやすく解説
「さをり織り」は、自宅で簡単にできる自由な手織りだったこともあり、全国に普及しました。
それまでのルールに縛られない新しい発想が生まれ受容されていったのは、特別なことではなく、自然な成り行きだったのかもしれません。
- 目次
- 1. さをり織りとは?
- 2. 「さをり織り」という名前の由来
- 3. さをり織りの考え方
- 4. さをり織りで作れるものは?
- 5. さをり織りはどんな織機や道具を使うの?
- 6. 糸はどんなものを使うの?
- 7. さをり織りを障害者の創作や雇用に繋げる動き
さをり織りとは?
さをり織りとは、機織りの一般的なルールを無しにした手織りで、城みさを氏によって考案されました。
折りたたみ式の簡素な木製織機を使い、大人でも子どもでも手軽に織れます。
一方、織り方はシンプルでも、綿、麻、絹、毛、レーヨンなどの素材と色の経糸、横糸を自由に使えるため、自由に色彩や質感を表現しやすく、そうして出来上がる唯一無二の織物に惹かれてファンが増えています。
「さをり織り」という名前の由来
市場に出る織物といえば均一であることが求められますが、さをり織りは均質でないこと、生地一点一点の「差」が大切にされます。その作り手の感性の「差」を織る、そんな意味が込められて、「さをり織り」と名付けられたそうです。
さをり織りの考え方
夢中、無心で織って、行き当たりばったりで織ればいいことになっています。気が付いたらこんな生地、織物ができていたというのが、さをり織りの理想です。
ルールもなく答えもない、織る人の気分や思いつきが反映され、世界で一つの生地ができあがるということです。
植木が刈り込まれよく整備された公園がある一方で、その地域の野草や樹木で成り立つ自然公園がありますが、さをり織りは後者というわけです。
さをり織りで作れるものは?
上着やスカート、パジャマ、ポーチ、マフラー、エプロンなど、なんでも作れます。
さをり織りはどんな織機や道具を使うの?
織り機も自由で、簡素なお手製の織り機を使う方もいますが、「かささぎ」など木製の折りたたみ式織機を使うことが多いです。これは7〜10万円くらいで購入できます。構造はシンプルで、作業は「踏む」「通す」「打ち込む」の3ステップなので初心者でも習得しやすい特徴があります。
付属品として整経台(タテ糸を作る道具)がセットになっている商品もあります。
糸はどんなものを使うの?
さをり織りでは、使う糸にルールはありません。
糸には、単糸(精紡機からつむぎ出したばかりの糸で、撚り合わせていない状態)や双糸(単糸を2本撚りあわせた糸。もろより糸)、杢糸(もくいと、2色以上の糸を撚り合わせたもの)、意匠糸(ループヤーン、ネップヤーンなど、不規則な節、ループやコブを紡ぎ込んだ糸)などの種類があります。さをり織りではこれらの糸を自由に使います。
また、糸の素材も、綿、絹、麻、毛、レーヨン、ポリエステル、ナイロンとさまざまですが、従うべきルールはなく、自由に素材を選べます。唯一従うルールがあるとすれば、あなたの感性です。
さをり織りを障害者の創作や雇用に繋げる動き
さをり織りは単純な織りでも多様な造形や感性を表現できます。また均質さを求めず、多様さを許容するものです。そのような特徴は障害者の創作や就労支援、雇用に親和性が高く、さをり織りを福祉作業所などに活かす動きがあります。
たとえば、NPO法人福岡市視覚障害者サポートセンターでは、3台の織り機を使って生地を製作し、実際に販売しています。
また、知的障害者が組合員となる企業組合を設立して、展示会での販売や製作受注等で、雇用創出に繋げたケースもあります。
以上、さをり織りの紹介でした。
織物に興味はあるけど、必要な道具も多くなかなか始められずにいた、そんな方はさをり織りを検討してみてもいいかも!
written by ヒノキブンコ