フィルムコミッションとは?昨今の自主映画・自主フィルム事情も
皆さん、山梨県、長野県で映画やドラマなどのロケ地が多いのをご存じですか?そこで活躍するのがフィルムコミッションです。
今回はフィルムコミッションについてご紹介します。山梨や長野がロケ地として使われることが多い理由や、昨今の自主映画・自主フィルム事情についてもご紹介します。
フィルムコミッションとは?
フィルムコミッションとは、映画やテレビドラマ、CMなどの制作を支援する非営利団体です。その地域に根付き、撮影がスムーズに進むようにロケ地探しを手伝ったり、エキストラを募集したり、撮影当日の食事や宿泊の手配を支援します。
フィルムコミッションは自治体の観光課、産業部などにより運営されていることが多く、ロケ地の施設使用料などは管理者に対して別途かかるとしても、フィルムコミッションのサービス自体は無償で提供されるのが基本です。
窓口を一元化して制作側の負担を減らす一方で、作品内容については表現の自由を尊重し干渉しないというのがフィルムコミッションの方針であることが一般的です。つまり、作品の内容で支援の可否を決めないということになります。ただし、ロケ候補の施設などはその所有者、管理者が作品内容に応じて可否を決める権利があります。
2000年に国内で初めて設立されたのを皮切りに、2021年時点、国内に約350のフィルムコミッション団体があります。
なぜフィルムコミッションは広がったの?
これだけフィルムコミッションが増えた背景には、「撮影時の直接的な経済効果」と「ロケ地巡り、聖地巡礼など間接的な観光効果」があります。すなわち、地域活性化としての効果が得られるため、各自治体や観光組織によるフィルムコミッションの設置が広がりました。
たとえば、北九州フィルムコミッションは国内外から映画やドラマでロケ地を多く誘致し、2018年度の経済波及効果は2億7,700万円でした(出典:「平成30年度 北九州フィルム・コミッションの活動成果について」)。
また、趣向が凝らされた作品はその地域の景観の美しさや文化の魅力を全国に発信してくれる役目も果たし、その地域の「知名度」や「愛着度」の向上にもつながります。たとえば、大林宣彦監督の映画の舞台となった広島県尾道市は「ロケ地めぐり」ブームが起こり、年間60万人もの映画ファンが尾道市を訪れるようになりました。
山梨県のフィルムコミッション
都心から近く、豊かな自然や日本らしい家屋、農業の風景が広がる山梨県。全国トップの『日照時間の長さ』と『降水日数の少なさ』で撮影しやすいこともあり、もともと映画やドラマのロケ地として多く使われてきました。
そんな山梨にも複数のフィルムコミッションがあります。
富士の国やまなしフィルム・コミッション
富士の国やまなしフィルム・コミッション事務局(山梨県庁)が運営するフィルムコミッションです。
https://www.yamanashi-kankou.jp/fc/
サイト内で、市町村やカテゴリ(田園、夜景、牧場など)で絞ってロケ地検索ができます。また、「エキストラ登録フォーム」でエキストラ募集も行っていますので、映画に興味がある、参加してみたい方は応募してみてはいかがですか?
北杜市フィルムコミッション
北杜市役所観光課が運営するフィルムコミッションです。
https://www.city.hokuto.yamanashi.jp/fc/
南アルプス、八ヶ岳など高山のすそ野に里山らしい自然風景が広がる地域だけあって、これまで多くの撮影実績があります。
ほかにも以下があります。
・山梨市フィルムコミッション
・都留市フィルムコミッション
・中央市フィルムコミッション
・丹波山村フィルムコミッション
・武田の里にらさきフィルムコミッション
・山中湖フィルムコミッション
昨今の自主映画・自主フィルム
スマホの性能が向上し、高度な動画編集ソフトが普及。さらにYouTubeなど公開の場も整ったことで、誰しも映像・映画を撮って公開しやすい時代になりました。
そんなこともあり、現在SNS上での自主映画・自主フィルムの公開数が増加しています。
かつてボカロPがSNSがきっかけで次々有名になっていったように、映画界でもSNSをきっかけに有名になる映画監督が増えていくかも!?
▶ボカロとは?〜ボカロが画期的だったのは?名作 ボカロ曲もご紹介
そこで、自主映画を制作する上でのTIPSを、今の時代に照らし合わせて解説します
自主映画もフィルムコミッションからサポートを受けられる?
多くの場合、サポートしてもらえます。フィルムコミッションの支援対象は映像に関わる創作活動全般。表現の自由を尊重し、作品の内容で支援の可否を決めない、としているところが多いためです。
たとえば、前述の「富士の国やまなしフィルム・コミッション」はロケ支援について対象の制限を設けていません。「北杜市フィルムコミッション」も、自主映画、ショートフィルム制作など映像制作者・クリエイター向けの支援を行っています。
どこでも撮影できる?〜撮影の許可がいる場所、いらない場所
道路や公園、公共交通機関、商業施設など公共の場は基本的に管理者に事前に撮影許可を取る必要があります。公共の場で通行者や交通の邪魔をしてはいけないためです。また、肖像権(後述)などの法令を守る必要があります。
撮影許可がいらない場所は、撮影者や関係者が所有する土地、建物内です。賃貸の場合は、管理会社や大家さんに許可を得る必要があります。
建物や街並みなど普段だれでも見られるものが背景として映り込んでも、基本的には著作権侵害に当たらないと考えられます。公共の場に常設された絵画や彫刻なども問題なさそうですが、企画展示物、館内の作品などを撮影・公開すると著作権侵害の恐れがあります。
■公園、河川敷
公園、河川敷などで撮影する場合、管理者に確認する必要があります。
商用利用、営利目的の場合、撮影不可となるケースもあります(新宿御苑など)。『商用利用・営利目的』とは、費用の発生する撮影、収益が発生するSNSでの動画投稿、LIVE配信などを指します。
事前に申請して許可されれば商用目的で撮影できる公園もあります。たとえば富士河口湖町の都市公園(大石公園、河口湖総合公園など)の場合、『業として映画撮影その他これらに類する行為を行う』ケースで事前申請で許可が下りれば、1日1万円で撮影できます(2024年10月確認時点)。
富士五湖(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)の湖畔や国有地の河川敷にて営利目的の撮影を行う場合も事前の届出が必要となる場合があり、「富士の国やまなしフィルム・コミッション」に相談することになっています。
■道路での撮影
道路での撮影も基本的に許可が必要です。その道路を管理する所轄の警察署や県の建設事務所などに相談します。多くの場合、道路使用許可を事前に申請することになります。その中では、使用場所を明記した地図や台本などの撮影内容がわかる書類の提出を求められます。
■駅での撮影
駅での撮影はJRなどその鉄道会社に事前に相談します。費用や申請手続きから見ると、最も撮影の敷居が高い場所の一つと言えます。
■肖像権侵害をしない
肖像権とは、「自分の顔や容姿が無断で撮影されたり、無断で公開されない権利」です。肖像権侵害にならないためには、
・被写体に撮影と公開の許可を得ること
・許可を得ていない場合、通行人などは顔や容姿が鮮明で人物が特定できてしまうような映像は避けること
がポイントです。
音楽・使用楽曲
映画に音楽は大事な要素ですが、今では音楽も有料、無料で利用できるようになりました。
自身の好きな音楽があれば、その作者にHPの問い合わせフォームやSNSのDMなどで連絡をとり、使用可能か確認します。また、あらかじめ無料、著作権フリーで音楽を商用利用していいとする楽曲提供サイトもあるので、これを活用するのも手です。たとえば以下のサービスがあります。難点といえば、曲数が数百、数千と多すぎて、選ぶのが大変な点。ですが、これは贅沢な悩みといえるでしょう。
・YouTube無料楽曲
・DOVA-SYNDROME YouTube Official
・NoCopyrightSounds(NCS)
以上、『フィルムコミッションとは?昨今の自主映画・自主フィルム事情も』でした。
日本では、だれしも映画を制作して公開ができる環境が整いつつあります。映画好きな方は、作り手側にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
Article written by ヒノキブンコ