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核融合発電とは?地球に太陽を作る⁉〜鍵を握るのはドーナッツ

核融合発電は昔から夢の技術として注目されてきましたが、いよいよその実用化が現実味を帯びてきました。

核融合は、太陽で起きている反応です。そのため、核融合炉は地球上に作った小さな太陽と言われることがあります。

そもそも核融合、核分裂とは?

核融合とは、軽い原始同士が融合してより重い原子に変わる反応のことです。

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核分裂による発電はすでに実現し多く建設されていますが、その反対の反応になります。核融合反応をコントロールしてエネルギーを利用することは長らく難しく、最近ようやくその道筋が見えてきたということになります。

具体的にどのような核融合が進められているか?

現在進められている核融合発電は比較的核融合を起こしやすい物質、つまり、重水素と三重水素(トリチウム)からヘリウム(He)と中性子を生む核融合反応です。

高い熱を持って飛び出す中性子からエネルギーを取り出して、水(などの媒体)を温めて湯を沸かしてタービン発電を行います。

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他にも『軽水素とホウ素11』『重水素とヘリウム3』の核融合発電も進められています。

核融合発電の種類

核融合発電の種類は以下です。

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核融合を起こすための装置の方式は『磁場閉じ込め』と『慣性閉じ込め』に大別でき、前者はプラズマという超高温空間を磁場で閉じ込めて作り出しますが、これを安定的に発生させるにはドーナッツ型が理想の形になるそうです。

ドーナツといえば、子供や大人に人気のお菓子であり、数学や小説でもよく取り上げられるモチーフですが、地球に太陽を作ろうとするときにもこの形が登場するというのは、なかなか興味深いですね。

国際核融合炉プロジェクト、イーター(ITER)

上の表のように各国の研究機関や民間企業が様々なタイプの核融合発電を研究していますが、なかでも注目されているのがイーターです。

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出典:文部科学省ホームページ「ITER計画」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021/005.htm

イーター(ITER、国際熱核融合実験炉)は2007年に設立され建設が進められている核融合発電の実験施設です。

大型化が可能なトカマク型で1億℃以上のプラズマ反応領域を閉じ込め、外から入力エネルギーより10倍多いエネルギーを熱として発生させることを目標の一つとしています。

核融合炉を実用化するには、1億℃以上という高い温度に長期間晒されても耐えることができ、かつ放射性物質が生まれにくい炉材の開発が重要となります。この炉材はまだ発見されていません。その研究、検証のための施設が、イーター建設の最終候補地だった青森県に現在建設中です。商業炉として核融合炉を実用化するために炉壁の設計がカギを握っているのです。

第3の核融合炉、熱交換を介さず電気を取り出す

アメリカのベンチャー企業ヘリオン・エナジー社は原理の異なる画期的な核融合発電を開発しつつあります。

FRC(磁場反転配位)型プラズマにより、重水素とヘリウム3からヘリウム4に融合させる核融合を発生させます。中性子や中性子放射という放射性物質を生じうる場を経ないため、放射性廃棄物が排出されません。来年の発電試験を目指しており早期実用化が有力視されています。マイクロソフト社と未来の売電契約を結んだことも大きなニュースになりました。

この方式の最大の特徴は熱交換を介さず電気を取り出すことです。つまり、一度水などを沸かしてその上昇気流でタービン発電を行わず、直接電気に変えるのです。

核融合の利点〜夢の技術と言われる理由

核融合の最大の利点は膨大なエネルギーを生むことです。

1gの水素の融合反応で得られるエネルギーは石油約8トン分(タンクローリー1杯分)の熱に相当します。(出典:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構HP)

核融合が夢の技術と言われる理由は他にもあります。それは高レベル放射性廃棄物が出ない点です。

核と聞くと放射線を連想しますが、核融合発電では何万年も放射能を出し続けるような高レベル放射性廃棄物は排出されません。また、核融合による発電は連鎖反応ではないため暴走事故が起こる心配がなく、スイッチを切れば反応をすぐに停止できると言われています。

放射性物質は全く出ないの?

ヘリオンエナジー社の『重水素とヘリウム3』の反応や『軽水素とホウ素11』の核融合では、放射性物質が出ません。

一方、イーターなどのトカマク型やヘリカル型核融合炉では、核融合反応によって放出される中性子が金属などの炉材に当たって放射性物質が生成されると考えられています。具体的にどのような反応が起こるか、どのような放射性物質が発生するかは実のところまだよく分かっていません。1億度以上と言う高温で発生した中性子放射の実験ができていないためです。

しかし、現在の原子炉(核分裂)で排出されるような高レベル放射性廃棄物は排出されないことは分かっており、そこに大きなメリットがあることは変わりません。



以上、『核融合発電とは?地球に太陽を作る⁉〜鍵を握るのはドーナッツ』でした。

核融合炉が実現すれば、欲しい時に欲しいだけエネルギーを得られるようになります。実際、文部科学省は核融合発電を主軸に2060年までにエネルギーを自給自足する目標を立てています。もしも、どの国も安価にエネルギーを利用できるようになれば世界は大きく変わるかもしれませんね。

written by ヒノキブンコ

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