新『平年並み』が10年ぶりに変わる。現『平年並み』との違いは?
- この記事で分かること
- 1. 『平年並み』とは?
- 2. 新平年値の特徴
- ・気温。地域によっては+0.5°C程度高くなった
- ・真夏日・猛暑日は増えた。冬日は減った
- ・降水量。10%多くなる地域がある
- ・降雪量。地域によっては30%以上減少した
- 3. 平均気温の新『平年値』が上がる原因について
- 4. 平年値はどうやって決まる?
「今週は平年と比べて気温の高い日が続きます」「明日の気温は平年並みでしょう」などニュースで耳にすることがありますが、この「平年並み」という言葉、実は平年値という値で定義されています。その平年値が5月19日より、10年ぶりに更新されます。前回よりも気温の平年値は全国的に高くなり、降水量の平年値は多くの地域で10%程度多くなります*。
*気象庁報道発表資料による
https://www.jma.go.jp/jma/press/2103/24a/210324_heinenchi.html
『平年並み』とは?
「平年値」「平年並み」は過去30年のデータに基づき10年ごとにアップデートされています。
「今日の気温は平年並みです」と聞けば安心しがちですが、気候変動が進む昨今、必ずしもそうとは言えない状況です。
※気象庁データからグラフ作成,https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html
※直線は全データの近似線
上のグラフのとおり、1898年の統計開始以降、日本の年平均気温は年によっては上下変動はあるものの全体として上昇し続けています。長期的に見ると、およそ100年で1.3℃程度上昇、なかでも1990年代以降に気温が高い年が頻出しています。
このような背景の中、今回の新『平年値』は現行の平年値(1980〜2010年の平均)よりも全国的に0.1〜0.5℃程度高くなる結果となりました。
そのため、今年からの「平年並みの暑さ」は、去年までの「平年並みの暑さ」より高くなり、「平年並みの暑さ」だからと熱中症対策の手を抜くのは危険なのです。
新平年値の特徴
『平年値』『平年並み』が定められる気象項目は、気温や降水量、日照時間ほか、積雪の深さ、風向、風速、湿度、気圧、梅雨入り、梅雨明け、台風の発生数など複数あるようです。そのいくつかの項目について、新平年値の特徴や現行平年値の違い*をここでご紹介します。
*出典:気象庁「新平年値の特徴について」
気温。地域によっては+0.5°C程度高くなった
平均気温の新平年値は、全国的に見て、現平年値よりも高くなります。年平均気温で見ると、北日本・西日本では+0.3°C、東日本では+0.4°C、地域によっては+0.5°C高くなりました。
真夏日・猛暑日は増えた。冬日は減った
真夏日(1日の最高気温が30°C以上となる日)の年間日数の新平年値は、沖縄から東日本にかけて多くの地域で3日以上増え、猛暑日(1日の最高気温が35°C以上となる日)の年間日数の新平年値は、地域によって4日以上増えました。
逆に、冬日(1日の最低気温が0°C未満となる日)の年間日数の新平年値は、全国の多くの地域で2日以上減少しました。
降水量。10%多くなる地域がある
降水量の新平年値は、夏の西日本や、秋から冬にかけての太平洋側の多くの地域で10%程度多くなります。 夏の東日本太平洋側、春の西日本では5%ほど少なくなる地域もあります。
降雪量。地域によっては30%以上減少した
降雪量の新平年値は現在の平年値と比べて、多くの地域で少なくなり、地域によっては30%以上減りました。
全国的な気温上昇で、雪にならずに降水となるケースが増えることや、積雪観測器の変更が原因として考えられるようです。
平均気温の新『平年値』が上がる原因について
平均気温が20世紀から長期的に上昇しているためですが、その原因としては、温室効果ガスの排出による地球温暖化や周期的な地球気候変動の影響がその背景として挙げられています。
ただし、20世紀後半からの急速な気温上昇は、過去2000年間を遡っても前例がないという論文が3本、英科学誌ネイチャーに掲載されるなど、周期的な地球気候変動の影響に温暖化の原因をどこまで科学的に求められるのか疑問もあるようです。
平年値はどうやって決まる?
平年値は、気温や降水量、日照時間、暖冬、多雨などを評価したり比較する基準として使われます。過去30年分のデータから『平年並み』がはじき出され、その値が10年間使われることになります。
以上、「新『平年並み』が10年ぶりに変わる」でした。
Article written by ヒノキブンコ