アライグマ~急増、凶暴。しましましっぽが可愛いからと近づかない
農地を荒らしたり、市街に現れたりと、最近よくニュースで見かけるアライグマ。外来種として日本国内で増えていますが、そのつぶらな瞳としましましっぽが可愛いからと安易に近づくのは危険です。
- 目次
- 1. アライグマとは?
- 2. 国内に分布を広げるアライグマ。なぜ増えている?
- 3. アライグマとタヌキの違い、見分けポイント
- 4. アライグマの被害
- 5. アライグマの危険性〜近づくのは危険
- 6. アライグマを見つけたらどうする?〜注意すべき点・対策
アライグマとは?
アライグマはネコ目アライグマ科アライグマ属の哺乳類です。もともとカナダ南部からアメリカ、メキシコにかけて自然分布する種ですが、1960年代、70年代に日本で飼育されたものが逃げ出したりして野生化しました。最近、個体数が急増しています。
国内に分布を広げる外来生物アライグマ。なぜ増えている?
日本ではジャガーなど大型肉食獣がいないため、アライグマの天敵は存在しません。このことが急増している一因です。また、雑食性、夜行性のため、人の気配が少なくなる夜に、農作物を食べたり市中で残飯を食べたりします。
もともと北米・中米からやってきた外来生物、アライグマは現在はほぼ全国で分布が確認されるまでになりました。
山梨県でも個体数が増えています。下表のとおり、ほぼすべての市町村で捕獲されています。
アライグマとタヌキの違い、見分けポイント
アライグマはタヌキやハクビシンと似ています。アナグマにも似ていますが、アナグマを見かけることは稀なので、ここでは触れません。
アライグマとタヌキの見分けポイントは『しっぽ』です。『しましま模様の長いしっぽ』ならアライグマで、『短く、しましま模様がないしっぽ』ならタヌキです。
顔でも見分けが可能です。目の上と鼻の周りが白ければアライグマです。ただ、タヌキも個体によっては顔に白っぽい部分が広くなるので、区別は少し難しいかもしれません。
ハクビシンならお顔の中央に縦に白い線が入るので、見分けは簡単です。
「姿は見えないけど、家の周りに何かいる。アライグマ?」 そんなときは足跡も手がかりになります。アライグマの足跡は他の獣と比べて違いがあります。
アライグマの足跡は、まるで子どもの手のように甲と指がつながった形になるのが特徴。ハクビシンやタヌキは、猫や犬と同じように甲と指先が離れたあのかわいい足跡になります。
アライグマの被害
アライグマの農作物の被害が深刻です。筆者も先日、北杜市須玉に住む知人から、育てた落花生などの農作物がアライグマに荒らされている、と聞きました。
豆類やとうもろこし、トマト、イチゴ、メロンなどの農作物の被害に留まらず、家の床下や屋根裏に進入されて住居の一部が損壊されたり、文化財が破損されるなどの被害が報告されています。
アライグマの危険性〜近づくのは危険
アライグマを見かけても、近づいたり触ろうとするのはとても危険です。
アライグマは臆病な動物ですが気性が荒く、防御本能から鋭い爪と牙で人を攻撃することがあります。その愛らしい顔やしましましっぽを見て、子どもが近づこうとするかもしれませんが、すぐに止(と)めましょう。
噛まれたり、引っかかれたりすると怪我をしますが、病原体のリスクもあります。狂犬病、アライグマ回虫、レプトスピラ症など人獣共通感染症を引き起こす病原体を媒介する場合があるからです。
アライグマを見つけたらどうする?〜注意すべき点・対策
・近づかない。
・刺激せず、ゆっくり離れる。
・子供が好奇心で近づこうとしたら止める。
・餌をあげない。生ごみにネットをかける。
・庭木の果実や農作物の未収穫物が食べられていたら片付ける。
・家への進入口をふさぐ(通風口、屋根の継ぎ目など)。
・自治体に連絡する。
以上、アライグマについてでした。
ハクビシンの記事(「ハクビシン〜ジャコウネコ科とあって木登りが得意。屋根裏の被害が多発」でもそうでしたが、彼らに罪はありません。同じ生き物なのに「外来種だから」という理由で駆除対象になってしまうのはなんだかかわいそう。とくに日本に生まれて一生懸命生きているアライグマの子どもが駆除されることを思うと胸が締め付けられます。
うまい抑制方法があればいいのですが、増え始めてしまった種を減らすのは容易ではありません。移入のきっかけは、ペットとして飼われていた個体が逃げ出したり、動物園から逃げ出したり・・・当時は安易な移入だったとしても、将来このような事態になることを想定できなかったのでしょうか・・・それはなかなか難しかったかもしれません。
それならアライグマが増えてしまったことを潔く受け入れ、日本の新しい生態系の一員になってもらうべく、ハクビシンといっしょに「特別在来認定種」に認める!?
そんな制度はありませんが、本来、動物・植物を人為的に移動させるというのはそれくらいの覚悟が必要なのかも。転がり落ちたハンプティはなかなか元には戻せません。
Article written by ヒノキブンコ