FabCafe Fuji（富士吉田市）

2023年09月28日

山梨県富士吉田市にある通称「富士みち」と呼ばれる通りは、昨今「映えスポット」として人気を集めている場所の１つです。この場所は、日本を代表する富士山を間近に感じられるため、国内外から多くの人々が訪れています。その富士山を望む通りに構えるカフェが、2022年11月にできた " 伝統的な織物産業とクリエイターとの共創を目指す " 『FabCafe Fuji』 です。
FabCafe は「Fabrication(ものづくり)」をテーマにおいたカフェで、現在世界に14店舗を展開しています。

『FabCafe Fuji』 を運営するのは、2015年から富士吉田市でゲストハウス Saruya Hostelと、アーティストが滞在制作を行うための施設 Saruya Artist Residency を運営してきた株式会社DOSOです。同社は、空き家をリノベーションによって蘇らせ、価値を継承し、新たな価値を作り、その場所に新たな風景を作ることを目的としています。

「1,000年以上前の平安時代から織物の名産地として広く知られてきた富士吉田の商店街には、かつて多くの機織り屋さんが並び、にぎわっていました。テキスタイルを中心とする 『FabCafe Fuji』 をつくることで、クリエイティブコミュニティが生まれ、地域と地域、地域と世界が繋がり、富士吉田に人が集う場所を作りたかったです。」と代表の八木さんは話します。

八木さんは、美術系の大学を卒業後、7年間のフランス留学などを経て、都内でグラフィックデザイナーとして活動していました。9年前に富士吉田市に移住し、産業などの地域資源を活用した地域創生に携わっています。

高い天井と大きな窓を生かした開放的な空間は、1990年代まで銀行として使用されていた建物をリノベーションして生まれました。店内はカフェだけでなく、アートや建築、テキスタイルなどの図書コーナー、リソグラフを楽しめるスペースやコワーキングスペースも併設しています。

店内に飾られているアート作品は、伝統的な織物産地である富士吉田市の「テキスタイル」の他、Saruya Artist Residency でアーティストが制作した作品を中心に展示販売しています。

『FabCafe Fuji』 では、できる限り山梨県内の食材を使ったフードやスイーツ、ベジタリアンメニューを用意し、人・地域社会・自然に優しいエシカルを意識したこだわりの「食」を提供しています。
スペシャリティコーヒーは、山梨県甲府市にある AKITO COFFEE（アキトコーヒー）のコーヒー豆を仕入れ、ハーブティーは富士吉田市を拠点にハーブの生産を行う HERBSTAND（ハーブスタンド）のものを使用しています。

『FabCafe Fuji』 のイチオシメニューであるホットドックは、オーナーである八木さんがフランス滞在中に、現地では当たり前のように食べていたものをカフェを訪れた人にも味わってほしいとメニュー開発されました。スパイスが効いたソーセージは手作りで、パンは、新月と満月の日しか販売しない山梨県都留市にあるCafe Naturalrhythm（カフェ ナチュラリズム）が、『FabCafe Fuji』 のために特別に作ったパンを使用しています。

テキスタイルの町である富士吉田市には、近年クリエイターの移住者も増えており、『FabCafe Fuji』も、地元客から海外の観光客まで世代や国境を超えて多くの人で賑わいます。

「英語対応したりと彼らの身になって、外国人も安心して利用できる丁寧で優しい店づくりを心がけていきたいです。地元の人しか知らない山やビュースポットを自分達目線で情報発信していきます。また、一般の方にも "テキスタイル" というものに興味を持っていただけるプロジェクトを企画し、富士吉田の伝統産業に光が当たるきっかけを作っていきたいです。」と八木さんは話します。

『FabCafe Fuji』は富士吉田市の新たなランドマークとして、地域と人が繋がり、盛り上がりを見せる場所の1つになっていくことでしょう。