ワインづくり研究所(山梨市万力)
ワイン造りのプロも注目するモデルワイナリー
西関東道路万力ランプ近くに突如として現れるボルドー色の建物。2022年6月に誕生した 「ワインづくり研究所」 は、ぶどう栽培の資材から醸造機械や酵母の輸入販売もするシンワフーズケミカル株式会社が、自社製品のショールームを兼ねてつくったワイン造りのプロも注目するワイナリーです。
「研究所」という名前の通り、ワイン造りへのアプローチが他ワイナリーとは異なるなかで、所長の川上さんはここでワインを造る意味を話します。
「自社が取り扱う醸造機械や酵母を実際に使用することで、他ワイナリーにその使用感や効果を提案するという目的のためにワイナリーをつくりました。」
現在 「ワインづくり研究所」 でワイン醸造に携わる社員は4名。全員がワイン造りに携わるとともに海外の機器の展示会にも足を運び情報を得ることで他ワイナリーに最新のノウハウを提案しています。川上さん自身もまた、大手ワインメーカーで長年ワイン造りに携わっていた経験から、ワイン造りと営業職の二刀流で日々の業務にあたっています。
木やガラス窓の空間に配された、最新の醸造設備
広々とした平家の建物は、水をたくさん使用するモノづくりの現場でありながら木やガラス窓を使用した温かな空間です。天井が高く開放感を感じられる工場内には最新の醸造機器を揃えており、ワインの造り手にとっては創造性を触発される設備が整然と並べられています。
珍しい四角型のステンレスタンクはヨーロッパ製のタンク。縦に2段重ねられたりと狭いスペースを有効活用できる等の工夫が施されています。土日は一般開放もしているため、窓越しから最新の醸造設備を見学することができます。
「研究所」だからこそ提案できる酵母違いのワイン
造られるワインは、同じ抽出方法を用いたワインを異なる種類の酵母で発酵させたものが並びます。同じ甲州のぶどうでも酵母が違うと香りが大きく変わるため、例えば「Rosa」という酵母はバラのような香り、「Paragon」はフルーティーな香りが漂います。「花鳥風月」で表現されたワインエチケットは自然の風景や生き物が描かれており、それぞれの香りや味わいの特徴が表現されています。試薬ビンのような300mlのミニボトルは「研究所」ならではのアイデアで、ワインを飲み慣れない方や手土産にも喜ばれる可愛らしい商品です。
一般的なワイナリー見学では、あまり語られることがないワイン酵母の話。「ワインづくり研究所」 では一般の方でも分かりやすいよう、エントランスにはホワイトボードが置かれ分かりやすい説明でもてなしています。
「一般的にワインの味わいや品質を語るとき、ぶどうの品質が語られる場合が多いです。私たちは『ぶどうの品質が最も大切である』ということを理解した上で、さまざまなワイン酵母を取り扱っているからこそ、酵母によって味わいも変化するということを一般の消費者にも楽しんでいただきたいです。」と川上さん。
平日は他ワイナリーに醸造設備に情報提供するモデルワイナリーとして、土日は販売所もあるためワインの試飲や購入も可能です。山梨市で作られているドライフルーツなども並び、観光客からプロまでそれぞれの視点で楽しむことができます。
ぶどう畑で使用する資材やトラクターなどの実験実証も兼ねて、標高850~900メートルの山梨市牧丘地区に4.5ヘクタールの自社圃場を新たに整備。
「私たちはあくまで他ワイナリーに情報を伝える黒子のような存在です。標高が高い場所にぶどうの苗を植えた理由は、収穫時期を後にズラすことで繁忙期はできるだけ他ワイナリーのサポートに周り、少し落ち着いたタイミングで仕込みに入ることができます。」と話す川上さん。
山梨市は、県内でもレベルの高いワイナリーがひしめく銘醸地。ワイナリーの独立準備を進める方が、自分の場所を本格的に稼働させるまでの期間に利用できる場所にもなっているとか。これから益々注目が集まり、山梨市のワイナリーがより一層盛り上がるのが楽しみです。
Article written by VALEM co., ltd.
ワインづくり研究所
山梨県山梨市万力758-1
※詳細は下記URLを参照してください。
https://wine-labo.com/
Instagram:shinwafc