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いい睡眠をたっぷり取るコツ〜日本は睡眠不足世界一

日本は先進国33カ国の中でもっとも睡眠時間が短い国。

たっぷり睡眠をとりたいと願う人は多いですが、睡眠不足の日々に慣れて、充足した睡眠をどこか遠い理想として諦めている人も多いのでは?

十分な睡眠は十分な休息につながり、仕事や学業に良い結果をもたらします。

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健康づくりのための睡眠ガイド2023

厚生労働省は2024年2月、専門家の知見に基づき「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公開しました。

・「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(厚生労働省)

・「健康づくりのための睡眠ガイドリーフレット(ポケモン登場)」(厚生労働省)
今回はこのガイドに基づき、「いい睡眠をたっぷり取るコツ」を考えます。

必要な睡眠時間は?

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必要な睡眠時間には個人差があり、その日の活動量でも異なるので一概に言えませんが、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、成人で6時間以上、小学生は9〜12時間、中高校生は8〜10時間、高齢者で8時間以上にならないことが、適切な睡眠時間の目安とされます。昼間に強い眠気を感じないことも、十分な睡眠が取れている目安です。

健康づくりのための睡眠ガイド2023で成人の必要睡眠時間に上限が示されていないのは、6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられるものの、 8時間以上の睡眠時間を必要とする人もいるためです。アメリカの共同声明では、7〜9時間の睡眠時間としながらも、長めの睡眠時間(〜10時間)も許容されています。

高齢者が8時間以上の睡眠時間にならないよう推奨されるのは、8時間以上の長い床上時間が健康リスクとなるためです。8時間以上の睡眠で将来の死亡リスクが1.33倍と増加する、9時間以上の睡眠でアルツハイマー病の発症リスクが増加する、などが根拠として挙げられます。

日本人は睡眠不足世界一

日本人が睡眠にあてる時間*は世界的に見てもかなり少ないようです。2021年のOECD(経済協力開発機構)による調査では、日本人が睡眠に当てる時間は7時間22分で、先進国33カ国の中で最も短いという結果でした。

*この調査の値は寝床で過ごした時間と睡眠時間を合わせた「睡眠にあてる時間」で、睡眠時間を指すとは限らない) また、令和4年の国民健康・栄養調査報告によると、多くの世代で男女とも、全体の4割前後が1日の平均睡眠時間が6時間未満でした(下図)。

このように、日本では多くの方が睡眠不足の状況であると言えるのです。仕事や家事、育児に追われたり、就寝前にスマホに触る時間が増えたりと、大人も子どももなかなか理想的な睡眠を確保しにくいのです。

睡眠不足が続くとどうなるか?

休息感を久しく得られていない睡眠習慣は良いものとは言えません。慢性的な睡眠不足は弊害も引き起こします。

子どもの睡眠不足が肥満リスクを増大させることが分かっています。また、睡眠時間の短い学生ほど成績が悪いという傾向は複数の研究で分かっています(Wolfson & Carskardon, 1998など)。

成人では睡眠不足が糖尿病や高血圧、心筋梗塞など病気のリスクが上がることが報告されています。

十分な睡眠が取れない理由

勤務時間、とりわけ時間外労働が長くなるほど、睡眠時間が短くなります(下図)。少子化対策を進める日本にとって、睡眠不足は社会問題。睡眠時間が削られがちな子育て世帯が十分な睡眠を確保できる社会環境が求められます。

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睡眠時間と労働時間の関連
出典:「健康づくりのための健康ガイド2023」(厚生労働省)(2024年8月15日に利用)

子どもについても、携帯電話・スマートフォンとの接触時間が長いほど、就寝時刻が遅くなる傾向が認められます(下図)。この傾向は小学生や中学生でとくに顕著になります。

たっぷり睡眠をとるコツ

「健康づくりのための健康ガイド2023」によると、たっぷり睡眠をとるコツは以下です。

• 日中にできるただけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる。
• 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる。
• 寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1〜2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる。
• できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる。
(出典:健康づくりのための健康ガイド2023, 厚生労働省)

十分な睡眠時間を取れない理由は人それぞれですが、何をして何をしないか取捨選択し、優先順位をはっきりさせることも大切です。帰宅後の自身の習慣や家族の役割分担を見直すことも有効です。男性でも産休を取得できる職場が増えているので、積極的に活用すると良いですね。

小中学生、高校生は1日に1時間以上体を動かし、スクリーンタイム(スマホやPC画面を見る、ゲームをする時間)を2時間以下にすることが、良い睡眠のために推奨されます(健康づくりのための健康ガイド2023)。

ほかにも、1日のカフェインの摂取量コーヒーカップで4杯程度まで、晩酌で深酒はしない、不規則な交代勤務をされる方は夜勤中に20〜50分の仮眠をとる、など、良い睡眠を取るコツがまとめられているので、家族で「健康づくりのための健康ガイド2023」を読んでみるのもいいでしょう。




以上、「いい睡眠をたっぷり取るコツ〜日本は睡眠不足世界一」についてでした。朝起きたときに十分な休養感を感じられるのは幸せの一つと言えます。いつまでも健やかに暮らしていくために睡眠習慣を見直してみるのはいかがでしょうか?

Article written by ヒノキブンコ

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