村営バスを電話予約制にして問題解決!小菅村の挑戦("Bus call reservation system" Kosuge village's challenge)
甲府から1時間。都内から2時間の自然豊かな小菅村。最近では町興しのPR動画で村民全員が「ゾンビ」になってしまうというユニークな試みを行った事で全国的にも有名になりました。動画の内容とは一転、春夏秋冬穏やかで心地良い街並みに癒された方も読者にはいらっしゃるのではないでしょうか。そんな小菅村が、2017年9月から村営バスを完全予約制に切り替えたニュースが話題になっています。村営なのに予約制のバスとは...?全国的に見ても珍しい試みです。
運行状況に対する様々な意見の解決策となったのが「予約システム」だった
小菅村がはじめた予約制バスサービスの内容は、いたってシンプルかつ明快。直接指定の番号に電話をかけ、「名前」「電話番号」「迎えに行く場所と目的地」「迎車希望時間」を伝えて完了です。例えば、「15時に役場前から長作のバス停までお願いします」とあらかじめ伝えておけば、15時に役場前にバスが迎えに来るという内容です。
最近は、あらゆる行政サービスがWeb化していく傾向がありますが、これならカンタン。お年寄りも助かりますね。
小菅村総務課の小林さんによると、村民の皆さんにアンケートを取った結果、ピンポイントに村営バスを運営できる方法が「電話予約システムの導入」だったとか。人口730人という小さな自治体で乗客数も限られているため、村と住民の皆さんの双方にとっても良い結果に結びついています。役場の担当者は専用の携帯電話を持って、営業時間内ならいつでも対応可能。2017年9月からの試験的運用でも、今のところトラブルなどは上がってきていません。
予約者の中には、「タクシー感覚で私一人のためにバスを呼ぶなんて申し訳ない」と仰る方もいるそうですが、役場の方は気持ちよく対応しています。利用者はお年寄りが大半なので、回覧板などを上手く利用して周知を図ることで、このシステムは村中に浸透することになりました。
お年寄りの皆さんの新しい活力へのキッカケにもなった
小林さんは、年々バスの乗客が減少していくのを目の当たりにする中で、「これではいけない」と思い立ち、村役場の職員同士で話し合ってきたそうです。バスの運転手とコミュニケーションを取りながら、今まで外出に億劫になっていたお年寄りの皆さんも、予約制を取り入れてからバスの利用率もアップ。嬉しい成功例です。「乗りたいときに乗れて便利だし、外出してみよう!」とか、「村営バスから富士急バスに乗り継いで村外まで買い物に行ってみよう!」だとか、利用者の新しい活力にも繋がっています。小菅村役場では、こうして高齢者の方々が自分でスケジュールを組み、活き活きとした毎日を送ってもらえるサポートに力を入れていく予定です。
現在、富士急山梨バスとの乗継をより便利にするために大月市の一部と上野原市の一部の路線延長が検討されています。現在は廃止となっている奥多摩方面の路線も、この機に復活させようという動きもあるとか。
2018年1月16日 小菅村地域交通会議の様子。民間バス会社や関係者を集め、村営バスの路線延長を検討しました。
超高齢化社会となっていく今後の日本。小菅村では、それを逆手にとった新しい地域コミュニケーションを成功させています。無駄を省きながら、みんなで笑顔に繋がっていけるフラットな社会。こうした試みが、山梨県内にもどんどん拡がっていくと良いですね。解決策はいろんなところに散らばっているかも知れません。
Article written by New Attitude