山梨に多く生息。チョウゲンボウというハヤブサの仲間。
この記事の目次
- 1. チョウゲンボウとは?〜ワシ・タカよりインコに近縁
- 2. チョウゲンボウの生態〜食性は里山の多様な生き物
- 3. チョウゲンボウの繁殖地として有名な七里岩(韮崎市、北杜市)
- 4. 高精度の狩り・チョウゲンボウの停空飛翔
- 5. チョウゲンボウの目〜紫外線領域でネズミの居場所を探り当てる
チョウゲンボウという鳥をご存じですか?
れっきとした猛禽類ですが、小さな体とくりくりした目のため「猛禽類なのに可愛い」とファンも多いようです。また、精度の高いホバリングをしたり、紫外線領域の光を見ることができたりと、特殊な能力も兼ね備えています。
そんなチョウゲンボウは、県内の釜無川など大きな河川の近くで比較的容易に見つけることができます。
チョウゲンボウとは?〜ワシ・タカよりインコに近縁
全長30〜40cmほど、ハトと同じくらいの大きさのハヤブサ科の猛禽類です。冬は日本全国で見られます。
高度経済成長期には生息数を減らし、都道府県によっては現在もレッドデータリストに『絶滅危惧種Ⅰ類』、『準絶滅危惧種』などのカテゴリーで掲載されています。それでも最近は全国的に生息数を増やしているようです。
ハヤブサ科と聞くと獰猛なイメージがありますが、最近のDNA研究により、ワシ・タカよりも、実はインコやスズメに近い仲間だということが分かってきました。
チョウゲンボウの生態〜食性は里山の多様な生き物
チョウゲンボウのエサとなる生き物は、小鳥(オオヨシキリ、ツバメなど)、モグラ、オサムシ、カエル、トカゲ、ネズミなどで、里山の多様性をそのまま表したような食性です。捕食するときは、ホバリングで獲物を見つけて急襲。その際、まるでミツバチのようにぴったりと空中で動かずに獲物に狙いを定めます。
山沿いや河川沿いなどで、ハトくらいの大きさで尻尾が長めで上手に飛ぶ鳥がいたらチョウゲンボウの可能性が高いでしょう。キィッキィッキィッ、と鋭く鳴いたり、キーキーキーと寂しげに鳴きます。
チョウゲンボウの繁殖地として有名な七里岩(韮崎市、北杜市)
チョウゲンボウは河川が侵食されてできた崖沿いなどで営巣することが多く、なかでも山梨県北杜市から韮崎市にかけての七里岩はチョウゲンボウの国内有数の繁殖地です。ある報告では、一つの岩壁エリアでなんと17つがいも繁殖をしていたそうです。一方で近年は、都内などで人工物で繁殖する都市適応例も報告され始めています。これはオオタカやハヤブサでも同じく見られる近年の猛禽類の傾向です。
高精度の狩り・チョウゲンボウの停空飛翔
停空飛翔(ホバリング)とは、空中の一点で停止したように見える飛び方のことです。ハチやハチドリでよく知られていますが、チョウゲンボウもこれを行います。猛禽類の中でも、チョウゲンボウはとくに精度の高いホバリングを行うことができます。
そのため、河川敷などでホバリングしている鳥がいて、それがハトくらいの大きさなら、遠目からでもチョウゲンボウだと分かります。
チョウゲンボウの目〜紫外線領域でネズミの居場所を探り当てる
ヒトの目は紫外線の波長帯を見ることはできませんが、チョウゲンボウの目は紫外線領域を見ることができます。眼球の奥の角膜に紫外線領域に反応できるロドプシンというタンパク質が配置されているからです。
ハタネズミの糞や尿は紫外線領域の光を強く反射するため、チョウゲンボウの目からはハタネズミの通り道が浮かび上がって見えていて、そのため、効率的にネズミを捕まえることができるというわけです。
以上、チョウゲンボウの解説でした。山梨在住ならぜひ探してみてはいかがでしょうか?
Written by ヒノキブンコ