
山梨で見つかる身近なプランクトンたち
- 目 次
- 1. プランクトンとは?
- 2. 山梨で見つかる身近なプランクトンたち
- ミジンコ
- ゾウミジンコ
- タマミジンコ
- アオムキミジンコ
- マルミジンコ
- ケンミジンコ
- カイミジンコ
- アオミドロ
- ツリガネムシ
- コバンケイソウ

顕微鏡を買ってもらったから、なにか観察したい!麹菌(こうじきん)見ようかな

麹菌は難易度が高いかも。プランクトンなら観察しやすいよ!
プランクトンとは?
プランクトンとは、海水や淡水(川、池)で浮遊して生息する生物のことです。
語源は古代ギリシャ語のplanktos(漂う、の意)で、惑星を意味するPlanet(プラネット)と同じ語源です。
プランクトンの厳密な定義は「自分で泳ぐ力を持たず、あるいは水流に逆らうほどの遊泳力を持たず、水中に浮遊している生物」なので、大きなクラゲも自分で泳げないならプランクトンです。プランクトンと聞けば、目に見えない微生物というイメージがあるので、少し意外ですね!
また、ケイ藻など川底を這って動く微生物は浮遊していないためプランクトンに定義されない場合もあります。ただし、実際の図鑑ではケイ藻はプランクトンとして紹介されることが多いので、この記事でもそうします。
山梨で見つかる身近なプランクトンたち
ここでは山梨で比較的簡単に見つけることができるプランクトンをご紹介します。
これらはどれも接眼レンズ10倍、対物レンズ4〜20倍で鮮明に観察できるので、見つけやすいプランクトンと言えます。
ミジンコ
愛らしいフォルムが人気のミジンコ。理科の授業で観察したことがある方も多いでしょう。
日本全国の池沼やため池に分布し、浅い場所を好みます。
日本のミジンコ(Daphnia pulex)はアメリカからの帰化種で、それもたった4個体の直系子孫であることが分かっています。700〜3000年前に2個体、ごく最近に2個体が移入したと考えられています(東北大学の研究)。
ミジンコと言えばこのベーシックな形が有名ですが、他にも可愛い形のミジンコがいるので、ご紹介します!
ゾウミジンコ
これはゾウミジンコです(ないしゾウミジンコ類)。
口の端に突起(触角)があり、それがゾウの鼻のように見えることから、この名前がつきました。山梨に限らず全国の池で見られますが、見つかることは稀です。
タマミジンコ
これはタマミジンコです。
田んぼに水が入ってしばらくすると一気に発生するミジンコは、だいたいこのタマミジンコであることが多いです。
手に入りやすく増やしやすいため、メダカや養殖金魚のエサとして用いられます。
多くのミジンコが扁平した形をしていますが、本種はボール状の形をしています。それが名前の由来です。
アオムキミジンコ
これはアオムキミジンコです(またはアオムキミジンコ属の一種)
お腹側が平面になっていることが特徴で、この面を上にして泳ぎます。水面に浮かぶ植物プランクトンや細菌の塊(フロック)を食べる習性があり、そのため水面ぎりぎりまで近づけるこのお腹がいいのかも。
マルミジンコ
これはマルミジンコというミジンコの仲間です。
その名のとおり、丸くてかわいい形をしたミジンコです。実際には球状ではなく、薄い円盤のような形をしています。
池の底の沈殿物をすくって観察すると見つかることが多いです。意外と素早く泳ぎ回るので、ステージを動かさなくても自分から視野に入ってくることが多いです。
ケンミジンコ
これはケンミジンコです。名前に「ミジンコ」がつきますが、ミジンコの仲間ではなく、カイアシ類の仲間です。
小川や池、河川、田んぼなど身近なところに生息し、水中の分解しかけた落ち葉の表面をこそいで観察すれば見つかることが多いです。
カイミジンコ
これはカイミジンコです。
こちらも名前にミジンコとつきますが、ミジンコの仲間ではなく、ウミホタルなどを含む貝虫類の仲間です。
池や小川の川底や底生の石をこそいで観察するとよく見つかります。
アオミドロ類
これはアオミドロです。
水質を問わず、川や池で少し緑色の藻っぽいところを救って観察すればすぐ見つかります。理科の教科書でお馴染みのプランクトンですが、実は種類がとても多く(日本だけでも80種以上!)、正確に同定するのは難しいかも!
金魚鉢やメダカ飼育など水槽内では厄介者扱いされますが、顕微鏡観察すると美しいらせん構造に見とれてしまいます!
ツリガネムシ
これはツリガネムシです。
池や水田に分布し、水草や落ち葉などに付着して生息します。金魚の体表で増えて金魚を病気にさせてしまうこともあります。
排水処理場の槽内にも生息するツリガネムシは、処理水の透明度を高めるため、処理場の処理性能を知る生物指標としても用いられます。
コバンケイソウ
これはコバンケイソウです。
体の骨格(殻)をガラス質で作るケイ藻の仲間で、植物プランクトンです。
中身の褐色の部分は葉緑体で光合成を行うための器官です。葉緑体と聞くと緑色を思い浮かべるかもしれませんが、実は褐色の葉緑体を持つ生物も地球上にたくさんいます。有機物合成など地球上の総生産の2割以上は褐色葉緑体が担うという試算もあります。
以上、「山梨で見つかる身近なプランクトンたち」でした!
最近は高性能な顕微鏡が安価に手に入るようになったので、生き物好きな方はご自宅で顕微鏡観察もおすすめですよ!
written by ヒノキブンコ