MANGOSTEEN HOKUTO～酒×食×音楽をベースに、3つの「万珍」スペースが共存する複合空間

2025年02月06日

「酒、食、音楽で人と人をつなぐ空間を作りたい」と、ケータリング事業、酒の輸入・卸売事業などを展開するMANGOSTEEN （マンゴスチン）が山梨県北杜市で2022年冬にスタートさせた「MANGOSTEEN HOKUTO」。カメラの三脚工場ベルボンの跡地、約400平米のスペースにブルワリー・タップルーム・食堂が渾然一体となった複合空間（ベニュー）が広がっています。

「MANGOSTEEN HOKUTO」の代表を務めるのは、90年代後半から日本におけるパーティーシーンを牽引してきた齋藤大典さん。1999年に東京都目黒区にマンゴスチンカフェをオープンしたことをきっかけに、ケータリング、酒の輸入・卸売、旅行業と幅広く事業を展開。フジロックフェスティバルをはじめとする音楽フェス、シルク・ドゥ・ソレイユの日本ツアーのケータリングなどで日本中を移動し、新しい "食と酒" の楽しみ方を積極的に発信してきました。

「一緒に働く仲間に子どもができたことをきっかけに、夜のクラブから昼の事業へと活動の場を移しました。『人が集う場をクリエイト』することを模索する中で、音楽を求めて旅行しながら遊んでいたこともあり色んなものを食べていたし、食がこれからの武器になると食の事業を始めました。それから20年ケータリング事業を行ってきましたが、コロナ禍で全てストップ。そんな時期に、縁あって北杜市に通ううちにブルワリーの構想を抱くようになりました。」とバックグラウンドを話す齋藤さん。

当初はブルワリーのみ建設する計画でしたが、せっかくなら広い空間を活かしたいと、「音、食、酒」が一直線に重なる空間を完成させました。

母体であるMANGOSTEENは、「マンチン（マンゴスチンを縮めた愛称）」と親しみを込めて呼ばれてきたこともあり、マンチンに漢字と意味をあて、『万（よろず）珍（めずらしい）』をコンセプトに事業を展開してきました。「MANGOSTEEN HOKUTO」もまた、万珍醸造（ブルワリー）、万珍酒店（ボトルショップ＆タップルーム）、万珍包（ビール食堂）の3つの "珍" 空間を備えています。その1つ「万珍酒店」は、元トラックターミナルをそのまま活用したダンスフロアのような空間で、実際に音楽イベント時はサウンドターミナルとしても活用されています。

スペースの一角に設けられた酒店では、自社製造のクラフトビールや自社輸入のメスカル、ナチュラルワインなどのボトル販売は勿論、タップルームでは、週に1,000ℓほど仕込む造りたてのビールを常時数種類味わうことができます。

「北杜市は義理母の別荘があったこともあり土地勘はありましたが、実際住んでみると地域の皆さんが本当に優しくて...野菜や果物なんかもたくさん収穫できた時はビールに使わせていただいています。」と話す齋藤さん。

きゅうりやミント、山椒など意外性のある副材料を組み合わせて造る "珍" なビールから、酵母由来のフルーティーさにクローブ香が爽やかに立ち上がる綺麗なビールまで、北杜市の空気が溶け込んだバラエティ豊かな商品ラインナップになっています。加えて、アーティストが手掛けるラベルも独創性に飛び、レコードのジャケット買いのように選びたくなる楽しさに満ち溢れています。

元工場の社員食堂だったスペースを活かしたビール食堂「万珍包」は、赤テーブルや手書きのメニュー、柔らかなグリーンの壁色が古き良きアジアの食堂を彷彿とさせます。店内では、北杜市産の食材を使った豊富なメニューをアテに、万珍醸造のビールを頼むも良し、酒店で購入したメスカルやワインのボトルも持ち込みも良し。その時の気分で自由に楽しめる、ニュースタイルの食堂です。

看板メニューの1つ「蒸し餃子」は、ビール製造時にでる麦芽かすを再利用し皮に練り込み、中身は北杜市明野町産の鹿肉を使用するなど "珍" な具材が入っています。かぶりつくと皮のもっちりとした歯応えとエスニックな味付けが、ビールを頼まずにはいられない美味になっています。

「カオスといえばカオスな空間。看板も大きくは出していないので、地元住人は「MANGOSTEEN HOKUTO」が何をやっている店なのか浸透するには時間はかかると思います。北杜市で店を構えて3年目、少し余裕が出てきた中でこの先はもっと地域住人との交流を増やし、地域に溶け込んだ施設の在り方を考えていけたらと考えています。」と齋藤さん。

近年、様々な分野のアーティストが北杜市に移り住み、毎月開催される音楽を軸にしたイベントに東京と地元客が集まる「MANGOSTEEN HOKUTO」。施設の隣には、知る人ぞ知るアート施設「ガスボン メタボリズム」もあり、山紫水明の街に心地よいグルーヴが生まれています。