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ROOTSやまなし タイの地で野球道を貫く 青山功 (タイ野球代表監督)【Vol.2】

野球道はライフワーク。そこから繋がる数々の出会い。

――「野球」という文化そのものがなかった状態からここまでのシーンを作り出してきました。今はどんな心境でしょう?山梨にいた頃の青山少年にとっては、まさか将来タイで野球を教えることになるとは思っていなかったかと。

青:
 まず、ここまで野球に関わってこれた事に感謝の毎日です。スポーツには言葉は要らないという事を身をもって再確認しています。野球を通して文化交流・社会貢献が出来たことは本当に感慨深いものがありますね。こんな人生になるとは、もちろん想像していませんでした。野球をしていなかったら僕の場合は、平々凡々と生きる人生だったかも知れません。
 男三兄弟を男手ひとつで育ててくれた父。彼になんとか楽をさせてあげたいと思って本気でやり始めた野球が、こうして日本とタイを結ぶことになっているのは嬉しいですね。海外で野球に関わっているからこそ、今までは考えられなかったような人や出来事との巡り合いがあります。あらゆる出来事に感謝の念を持つ。それが僕の原動力のひとつです。

aoyama7.jpg (左から)東尾氏、立浪氏、青山氏

二つの故郷を通して、広く世界のスポーツを考えたい。

――東京五輪を控えて日本も盛り上がって来ています。そこで思う事とは?

青:
 まず、個人的な考えで言えば、野球でタイと日本を一つに繋げて行きたいという想いはもちろんあります。ただ、五輪に向けて盛り上がる事はもちろん素晴らしいのですが、日本のスポーツ界の方々はもっと発展途上国を含めた海外に対しても、しっかり目を向けてほしいです。
 参加国が増えてこそのオリンピックだと思います。勝利至上主義というスタンスだけではなく、スポーツ業界全体を世界基準で長い目で見ていくことの重要性を、野球においても感じていますね。最終的にどの国にとってもメリットになる事ですから。

aoyama8.jpg ――バンコクと山梨を比較、というのは難しいと思いますが、読者の方にメッセージをお願いします。

青:
 30年近くタイに住んでいると、目まぐるしい経済発展のスピードには本当に驚かされます。その一方で、日本と同じく古き良きタイの美しさも失われて行っているという点もあるのですが...。
 私はにとってタイは、もはや第二の故郷となっているので、少しは客観的に日本、山梨を見ることができます。山梨の方にも、もっと外から色んなものを観る習慣を付けてみてはどうでしょう、という提案もしたいです。富士山をはじめとした美しい自然や文化の本当の素晴らしさが見えてくるんじゃないでしょうか。
 日々当たり前に思える事は、実は離れてみると本当に素晴らしいものです。俯瞰して客観的に考えることで、見えてくるものはたくさんあると思います。タイではなかなか山梨出身の方とお会いする機会もないので、今後も新しい出会いがあったりしたら面白いですね。楽しみにしています!

 遠く離れたタイで、野球で縁を紡いでいく青山さんの目は、まだ先を見据えて輝いています。ワールドペースボールクラシックを始め、国際野球試合の中継がある際は、ぜひタイのチームにも注目してみてください。山梨から繋がっていった夢と感動は、この先どんな景色を見せてくれるのでしょうか。

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Article written by New Attitude

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