石垣前にハバキ石垣 甲府城跡内堀 弱い地盤対策か
県埋蔵文化財センターは、国史跡甲府城跡内堀の楽屋曲輪東側を調査し、「ハバキ石垣」といわれる、石垣の前に造られた小規模な石垣を発掘した。弱い地盤に築かれた石垣を補強するための工夫とみられ、担当者は「念入りに地盤を強くしてから石垣を築いている。それぞれの地盤環境に応じた技術が見えてきた」と話している。
調査は整備基本計画に基づき、2022年に開始。今年10月から県庁東側の132平方メートルを発掘している。ハバキ石垣は幅2メートル、高さは最大で2メートル。楽屋曲輪側の内堀に沿って造られ、今回の調査区から約18メートルが出土した。野面積みの特徴が見られ、江戸時代中頃の城を記録したとされる絵図「楽只堂年録」にも記されている。石垣の変形を抑え、補強するために造られたと考えられ、今後はその構造と背後の石垣の状態を調査していく。
現場は扇状地で、沼地のような弱い地盤。掘り込んだ地面にこぶし大から30センチほどの石を敷き詰めたり、木材で基礎を組んだりと、地盤を改良して石垣を築いている。城の正面玄関に当たる大手門に近いことから、念入りに造られた可能性も考えられるという。調査を担当した佐賀桃子さんは「地形や地盤、場所などに応じて石垣を造る技術に特徴があるのかを明らかにしていきたい」と話している。