清里萌木の村 ROCK(Feature of ROCK)
清里を象徴するレストラン
山梨県北杜市高根町清里。かつて観光で栄えたリゾート地です。1971年から続くROCKは、清里で最初の喫茶店として登場し、若者を中心に絶大な人気を獲得しました。ROCKを訪れる県内外からの観光客によって渋滞が発生し、40席ほどの店内は満席。行列が絶えないほどだったそうです。
清里エリアは、高度成長時には、八ヶ岳の原宿と称されるほど活気を見せていましたが、時代の波に翻弄され、今ではすっかり寂しくなってしまってしまいました。しかし、ROCKの人気ぶりは現在も変わりません。八ヶ岳から厳しい北風が吹く寒い日にもかかわらず、多くの家族連れやカップルが訪れ、オープンからあっという間に現在の250席という店内は満席となりました。
1997年に移転した店舗はクラフトビールの醸造所を併設し、レストランとしてオープン。カントリー調の雰囲気は初代店舗から引き継ぎつつ、店内は広々しています。
自慢の看板メニューROCKカレーは北杜市を訪れたらぜひとも食べてほしい逸品です。スパイスや果物のうま味をじっくりと煮込んだとろみのあるROCKオリジナルカレーは山盛りの野菜が載ったワンプレートスタイル。レーズンバターがコクを引き立てます。カレーの他、クラフトビールの酵母を使用したオリジナル生地のマルゲリータ、こちらも麦芽を飼料として育てた「甲州麦芽ビーフ」を一頭買いして800°のセラミックヒーターで焼き上げるステーキ、ビールのおつまみに最高なソーセージ盛り合わせなど豊富なメニューがラインナップされています。
ROCKオリジナルのクラフトビール
料理とともに楽しみたいROCKオリジナルのクラフトビールは、清里開拓の父と呼ばれるポール・ラッシュ氏が、日本にアメリカン・フットボールを普及させた人物であることに由来し、「八ヶ岳地ビールタッチダウン」と名付けられ親しまれています。定番醸造されているのは、ピルスナー、デュンケル、清里ラガー、プレミアム ロック・ボック、2017 年にIBCインターナショナルビアカップで金賞を受賞したヴァイスの5種類です。ヴァイスは、2016年に初出荷され、当初は限定醸造されていた白ビールです。白ビールとは、大麦だけでなく小麦も使用して醸造されるビールのこと。華やかでフルーティな香りとモルトのコク、その両方が楽しめます。秋・冬期間限定醸造のアルトは美しいルビー色で華やかな香りが特徴。常温でゆっくり飲んでも美味しいこの季節にぴったりの一本です。八ヶ岳の地ビールを料理とともに味わってみてはいかがでしょうか。好みの一本を見つけるのも、クラフトビールの醍醐味です。
タッチダウンビールを醸造しているのは、かつてキリンのブラウマイスターとして活躍し、「一番搾り」や「ハートランドビール」を手掛けた山田一巳氏です。自分の思い描くビールをつくることをモットーに、ここ清里の地で醸造を行っています。かねてより八ヶ岳は、ビールの原料となるホップの産地でもあります。今、清里ではタッチダウンビールに続き、新たなクラフトビール醸造の動きが活発になっており、若い移住者らがホップから育てビールの醸造を行うなど、ゆくゆくはクラフトビールの地として北杜市が脚光を浴びる日も近いかもしれません。
復活したROCKの今
2016年8月8日、ROCKを悲劇が襲いました。原因不明の火事により、骨組みを残してほとんどが焼けてしまったのです。しかし、9ヵ月という短期間で、2017年6月9日にリニューアルオープン。かつての活気を取り戻しつつあります。地元を始めとしたお店を愛する色々な人の支援や協力によって、文字通りの復活を遂げたのです。工事期間中も仮設の店舗での営業や、市が運行するピクニックバスを借りて営業を行いました。少しでも人々に感謝の気持ちを伝えるため、そして、ROCKの存在を人々の心から絶やさないために。
マネージャーの三上浩太さんは怒濤の9ヵ月間を感慨深く振り返りました。「今まで、ROCKを含む萌木の村は、舩木上次の世界そのものでした。今回の件を機に、ROCKの全てを任せてくれたんです。ポール・ラッシュが清里を開拓したルーツまで立ち返って、一から作り上げました」。
清里の歴史を紐解く上で、ポール・ラッシュと舩木上次の二人は不可避の存在です。関東大震災後の日本のキリスト教青年会拠点立て直しのために来日したポール・ラッシュは、支援活動の一環として、米の作りにくい清里に酪農や西洋野菜栽培を伝えるなど、開拓支援を行いました。舩木上次は、ポール・ラッシュの意志を継ぎ、清里の地域振興に人生を捧げる人物です。スーパーマンTシャツがユニフォームの清里のヒーロー。人材育成や観光資源の発掘、発信に携わっています。地域へ関わるきっかけは喫茶店の開業でした。つまりROCKの創業者なのです。
「もともと清里は、小河内ダム建設によって奥多摩湖に沈んでしまった小河内村、丹波山村の2つの村の移住者によって拓かれました。山間の河川流域の人々は、石積の技術に長けていたので、清里開拓にもその技術は活かされているんです」
三上さんが言うように、ポール・ラッシュの眠る聖アンデレ教会は、石積で作られた清里開拓のシンボルとなっています。歴史に倣い、再建されたROCKの柱や内装、外の塀には石が多く使われました。訪れる人々を出迎える外の塀はひとつひとつスタッフ全員の手によって積まれたもの。住む場所がなくなった先人たちが石を積み新しい町を拓いたようにROCKもまた、新しい未来を切り拓き希望を積み上げています。
Article written by VALEM co., ltd.
清里萌木の村 ROCK
〒407-0301
山梨県北杜市高根町清里3545 萌木の村
電話:0551-48-2521
※詳細は下記リンクを参照してください。
http://www.moeginomura.co.jp/ROCK/